― じゃじゃ馬ならし ―
穏やかな昼下がり。
昼餉を終え、誰もがつかの間の安息に身を任す時。
それは今中庭に居る趙雲も例外ではなく、木陰に腰を下ろして物思いに耽っている。
その耳に聞こえるは小鳥の囀りと風に揺れる木々の囁き………
だけ、の筈なのだが――
「おいっ! 待て、!」
「待て、と言われて待つ馬鹿が何処に居る、ってね!」
耳を劈くような二人の大声に休息の時間が見事に遮られた。
声の方向を見ると――
中庭に面した大きな木にひらりと飛び移る小柄な女と、それを掴みにかかる大男が見えた。
女は男の腕を器用にすり抜け、木の枝の上で勝ち誇ったように笑みを浮かべると
「悔しかったらこっちまでおーいでーっだ!」
唇の間から真っ赤な舌を出し、下で木を思い切り揺すっている馬超に向かって挑発紛いの言葉を吐いた。
この二人――
出会って間もない頃からこんな調子だ。
何かある毎に言い争いをし、しまいには今のように盛大な追いかけっこを繰り広げる。
何が彼らを動かしているのかは本人達にしか解らない事である、が――
…どうも、面白くない。
傍から見れば恋仲と言うよりは寧ろ兄弟といった感じなのだが、それでも今の趙雲にしてみれば更に面白くない。
の快活さ…開放的といった人間性は、確かに周りの者達も気持ちよく思っている。
どのような時でも場の雰囲気を一気に明るく変えてしまうのは、彼女の性格所以だろう。
しかし、そんな彼女だからこそ心配になるのだ。
何時、誰にこの関係を邪魔されるか………。
不機嫌な表情をその顔に貼り付け、距離を置いて二人のやり取りを見つめる。
このような気持ちにならなければあいつと喧嘩などしなかっただろうに、と後悔の念を少々抱きながら――
そう、趙雲とはつい先程ひょんな事から喧嘩をしたのだ。
「…お前、もう少し大人しく出来ないのか」
きっかけは趙雲のこの一言。
彼にしてみれば…昼餉を頬張りながら尚も喋り続ける彼女に対して何気なく吐いたものだったのだが、にはそう聞こえなかったらしい。
二人になると必ずと言っていい程投げつけられる言葉に…堪忍袋の緒が切れたのだろう、今迄楽しげだった彼女の表情が一変した。
「また説教か、子龍!? なぁ、ボクはキミの子供なのか? 恋人じゃないのか!?」
「そういう意味ではない。 私はお前の事を思ってだな――」
「同じだろっ! …小姑みたいな子龍なんか大嫌いだ!」
散々怒鳴り散らすようにまくし立て、部屋からさっと飛び出した。
その後姿を茫然と見つめる趙雲だったが、刹那彼の腹の中にも煮え滾るものが膨れ上がる。
何も、あれ程まで怒ることはないだろう、と。
確かに、これまで説教じみた事を何度か言ったことはあるが…何故今になって怒りを露わにしたのか。
趙雲は彼女の理不尽な怒り方に腹立たしさを覚えながらも
「まぁ、あいつの事だ…少しすれば何時もの調子に戻るだろう」
この事態を楽観的に捉えていた。
趙雲が回想している間にも彼らのやり取りは続く。
「、お前は猿かっ!」
「猿で結構! 鈍重なキミに捕まるよりそう言われる方がよっぽどましだね」
「…何だと!?」
蜀軍の猛将―しかも五大将軍だ―に対して 『鈍重』 ときっぱり言い切るに、見ている趙雲も流石に苦笑を洩らした。
私も何時かに 『鈍重』 だと言われてしまうのだろうか、と。
すると――
ピィーーーーー!
突如口笛の高い音色が空に響き渡ったかと思えば、直ぐに近付く馬の蹄の音。
そして…
「ならば、これでどうだ! 、最早お前に 『鈍重』 だとは言わせんっ!!」
「「こんなところで馬を呼ぶなっ!!!」」
愛馬にひらりと跨り、ふんぞり返る馬超へと向かう二つのツッコミが重なった刹那、ツッコミを入れた張本人二人の視線がかち合った。
…まずい。
いろんな意味で趙雲の背中に冷や汗が滲む。
はじめ、趙雲はと馬超のやり取りを遠くから眺めるに留めておこうと思っていた。
ついさっきの事では、も機嫌が直っていないだろうし…何より、自分達が喧嘩をしていると馬超に知られでもしたら間違いなくからかわれるだろう。
ところが、だ。
まさか、ここで馬超が愛馬を呼び出すとは…というより、思わず吐いてしまった言葉がと同調するとは………。
そこは流石恋仲、と言えなくもないのだが…趙雲の嫌な予感、的中の瞬間である。
しかし、このまま黙っていてはますます悪い予感の通りになってしまう…ここは毅然とした態度で切り抜けねば、と自身を奮い立たせるようにきっと馬超に視線を移しながら手を伸ばし、口を開こうとした刹那――
「でも、馬が来たからって無駄無駄。 ボクは掴まらないよーっだ!」
趙雲の存在を無視するかのようにが再び馬超に向けて舌を出すと、枝の上で器用に踵を返し、次々と隣の木の枝へと飛び移っていった。
そして、それを馬で必死に追う馬超…二人の姿が瞬く間に遠くなっていく。
趙雲はやり場のない腕を身体の横に垂れ下げ、拳を握ると
「ちょ、お前らっ! 少しは私の話を聞けーーーっ!!!」
更なるツッコミどころを逃し、彼にしては珍しく大声で叫んだのだった。
時は過ぎ、今は午後の鍛錬を終えて皆が休息を取るべく後片付けをしている慌しい時。
空には鮮やかな橙色が広がり、間もなく夕餉の時だという事を物語っている。
そんな中、馬超は逸早く身支度を整えて自室に戻ろうとしていたところを趙雲に引き止められ、鍛錬場の片隅に並んで腰を下ろしていた。
横に座る男が鍛錬用の得物を両手で弄びながら少々重たい口を開く。
「馬超。 お前、をどう思う?」
「どう、とは…。 趙雲、お前と恋仲なのだろう」
何を今更、といった調子で趙雲の問いにさらりと返す馬超。
しかし、その答えは満足のいくものではなかったらしく、趙雲の顔に苦虫を噛み潰したような色が浮かぶ。
「そういう意味ではない。 …の態度をどう思うか、だ」
「悪くはないと思うぞ。 あれはあれで好意を持てる―」
趙雲の不可解な問いに逐一律儀に答える馬超だったが、ここまで言って言葉を切った。
ちょっと待てよ、と。
…こいつ、もしかしたら…俺に嫉妬しているのか?
だとしたら面白い。
普段は己の感情をあまり露わにしない趙雲、それが遠回しながらもこちらの反応を気にしている様子がありありだ。
軽くあしらわれる方が多い自分としてはこの好機、逃すわけには行かない。
…さぁ、どうやってこいつをからかってやろうか。
馬超はふふん、と軽く鼻を鳴らすと…隣で言葉の続きを待っている男に言い放つ。
「趙雲。 お前はやはり女の扱いが苦手なようだな」
「…! 何だと!?」
案の定、馬超の挑発紛いの言葉で過剰に反応する趙雲。
先程までの不安げな表情は何処へやら、眉間に皺を寄せつつ語気を荒げた。
こうなると益々優勢になる。 馬超はにんまりと唇の端を吊り上げると
「と、言うより…あのじゃじゃ馬を乗りこなすのは、馬術が上手い俺のほうが上だろう」
畳み掛けるように決定的な言葉を投げ遣り、相手の出方を窺った。
すると――
「どうやら私を本気で怒らせてしまったようだな…。 ならば馬超、勝負だ!」
「おう! 望むところよ!」
修羅の如き面を突き合わせ、売られた喧嘩は買うのが礼儀と言わんがばかりに殆ど勢いで挑まれた勝負をいとも簡単に受ける馬超。
しかし、次の瞬間趙雲の放った大声がちょっとした騒動のきっかけとなった。
「決戦は明日! いいか馬超、男と男の勝負だ。 をかけてな!」
「……………は?」
一方的な喧嘩を吹っかけられた馬超にとって、この一言は青天の霹靂だった。
なんだ?この展開は。
これは…まるで俺自身もに惚れているみたいではないか。
何処をどう間違ったらこういう考えになるんだ、この男は。
だが、そんな馬超の思いを余所に…今度はその声を聞きつけた他の兵達が騒ぎ出す。
「なんだなんだ? 何があった?」
「どうやら趙雲様と馬超様がをかけて勝負するらしいぞ」
「も隅に置けんなぁ」
「では明日のこの時間はお二人のために準備をせねば」
この噂!?は瞬く間に広まっていく。
逸早く聞いた兵士は通りすがりの女官へとこの話を面白おかしく変換し、伝えている。
他はと言えば…誰かに話をしようとそそくさとその場を離れる者、どっちが勝つか賭けに走るものやそれに乗る者…実に様々であった。
「いや、あのな…俺はの事を恋愛対象にだな―」
あまりにも早い展開に馬超が弁解をすべく隣を見るが時既に遅し…最早その場に趙雲は居ない。
更に動揺を表に出さずに周りの者へと声を掛けようとするが、こちらも既に後の祭。
馬超は己の拳を力いっぱい握り締めると、散り散りになっていく兵達に向かって力の限り叫んだ。
「おっ…俺の話を聞けーーーーーっ!!!」
…やれやれ。
どうやら大きな誤解を招いたまま明日の決戦を迎える事になりそうだ。
しかし…あの趙雲を相手にわざと負けるなんざ真っ平御免だ。
ならば、返事は一つ――
この勝負、全力で受けるぞ!
とんでもない展開で勝負する事になった二人、そしてその話を人づてに聞く。
それぞれの気持ちが微妙に擦れ違っていく――
果たしてこの勝負、どうなることやら………。
…やけに騒がしいわね。
は医務室で作業着を脱ぎながら意外そうに小首を傾げた。
今は夕餉前――兵達も鍛錬を終え、それぞれの室に戻っている頃だろう――自分達軍医にとっても漸く訪れる安息の時間だ。
それが、気になり始めてから暫く経っても静けさが訪れない。 何かあったのだろうか?
誰かが急病に倒れるか大怪我をしたのなら、直ぐにここへと運ばれて来るだろうからそれは違う。
じゃ、何が起こったの…?
が傾げた首を更に曲げて考え込み始めた刹那、医務室の扉が勢いよく開き――
「姉さん、大変だ! 子龍と馬超が明日、大喧嘩するんだって!」
「………はぁ!?」
転がり込むように入って来た義妹の叫びに近い声が耳に飛び込んできた。
大喧嘩? しかも今ではなく、明日?
あまりの唐突さとおかしさに眉を顰めながら素っ頓狂な声を上げる。
確かに、彼等は仲間であり素晴らしいと言わざるを得ない程の好敵手だけど…何処から大喧嘩になるの?
しかも、目の前で両腕をジタバタさせている義妹、に話の発端は何処なんだと訊いてみるが
「えっ? …あ、今さっき女官長から聞いただけだから…ごめん、解んないや」
何とも煮え切らない答えが返って来る始末。
はやれやれ、とかぶりを振りながら盛大な溜息を吐いた。
人の噂とは実に面白く、怖いものだ。
話をする本人にしてみれば聞いた事をそのまま反芻しているに過ぎないのだが、これが人としての性なのだろう…相手がより興味を示すように話を膨らませる事が多い。
まぁ、大方血気盛んな馬超の方が勢いで勝負か何かを挑み、それを聞いていた誰かが話を大きく広めたのだろうとは思った。
しかし、疑問に残る事が未だある。
…喧嘩か勝負かはどうでもいいけど、一体何が原因なのかしら。
小首を傾げながら扉の前にいるへと視線を泳がす。
すると、おぼろげながらではあるが…なんとなく原因がここにあるような気がした。
趙子龍という男………彼はそう簡単に喧嘩をするような人間ではない。 たまに『こいつ、歳を誤魔化しているんじゃないか』と思ってしまう程、物事を達観している節があるようにには感じていた。
その彼が此度の少々不可解な噂の元、となると………
…どうやらこの喧嘩、面白い事になりそうだわ。
「でも、複雑だな…二人の喧嘩、見たいような見たくないような…」
の表情から困惑した心の内が窺える。
この軍を担う大将軍二人が争う事は滅多にない。 手合わせするだけでも大騒ぎになるのだから、本気の『喧嘩』であればただ事では済まされない。
趙雲と恋仲であるにしてみればその心中は穏やかではいられないだろう。
は面白がっている心の中を悟られないよう、その顔に微笑みを浮かべると
「男の喧嘩は女には止められないものよ、。 …とりあえず応援しましょ」
うーんと考え込んでしまった義妹の頭を軽い調子でポンポンと叩いた。
趙雲、馬超、三人の気持ちに…更にが絡まり合う。
そして、決戦の時がいよいよ訪れた――。
「で………何でアレが出てくるわけ?」
大将軍同士の喧嘩の場――鍛錬場――へ足を踏み入れたは、用意されているものに目を剥いた。
場の中心に繋がれているのは少々気性の荒い馬二頭。 しかも雌だ。
今にも暴れ出しそうな馬の手綱を必死に持つ兵達に話を聞いてみると――
私はお二人の会話を断片的にですが聞いていたんですよ。
その話では…どちらの馬術がより優れているか争っていたようなので…厩舎の者から未だ調教し切れていない馬を借りてきたんです。
をかけての勝負ですから、ここはやはり雌馬かなと。
まぁ、あの方達ならば案外簡単に手懐けられると思いますがね。
――とんだじゃじゃ馬馴らしだわ。
昨日、頭の中にあった疑問はここで全て解決した。 これは『喧嘩』ではなく『勝負』だ。 しかもが絡んでいるのであれば趙雲が勝負をする理由も自ずと導き出される。
問題は何故をかけているのか、なのだが…これは間違いなく趙雲の勘違いだろう。
ここまで思い至り、は
「………こんな男達に振り回されるが可哀想だわ。 あ、と言うより…あの娘が彼等を振り回しているのかも知れないわね」
少年のような二人の男と兵達の粋?な計らいにただただ苦笑を洩らすしかなかった。
「――どちらが早くこの馬を手懐け、乗りこなす事が出来るかを競います。 それでは、準備をお願いします」
この一日の間に、兵達は何時の間にか審判や司会まで選抜していたらしい。
説明を受けた二人はそれぞれの馬の手綱を握り、他の者達は興味津々でその姿を見つめる。
そして、決戦の火蓋は切って落とされた――。
始まる前から鼻息を荒くしていた雌馬は遠慮というものを知らず、地を抉るような勢いで後ろ脚を頻りに蹴る。
真摯に話しかけようと顔に手を添えた馬超だったが、一瞬にして振り払われ、喉を詰まらせる。
「くっ………こいつ、より厄介だぞ」
…当たり前である。
一方の趙雲もよしよし、と背を撫でるが…刹那、物凄い勢いで手綱を引かれた。
引き摺られそうになる身体を必死に踏ん張りながら苦し紛れの声を絞り出す。
「うぅ…何故、私がこんな目に遭わなければならないのだ…」
…そもそも原因は貴方である。
流石の大将軍でも暴れ馬を大人しくさせるのは至難の業らしく、その姿は少々滑稽にも感じる。
そんな二人を、観戦者達は笑いながらやんやの喝采と共に見つめていた。
その場が盛り上がり始めた頃を見計らい、はに目配せをする。
「…、昨夜の打ち合わせ通りよ」
「うん。 で、姉さん…応援の文句は?」
「うーん、そうねぇ…」
小声で話をする表情には悲壮感はない。 寧ろこの状態を楽しんでいるようにも見えた。
最終打ち合わせも完了し、二人は人垣を掻き分けて前へと躍り出る。
そして――
「二人ともがんばれー! 馬もがんばれー! うまーうまー!」
両手を挙げ、左右に振りながら腰をくねくねと動かす、奇妙な踊り。
これでも応援しているというのだから、彼女ら二人にも困ったものである。
刹那、この奇妙な踊りがこの場の盛り上がりに拍車をかけてしまう。
二人が余程楽しんでいるように見えたのだろう、他の者達もそれに倣い、踊り始めた。
しまいには、たまたま持っていた手拭いや腰紐等を振るという独創性に溢れた者さえ出てくる始末。
「がんばれー! うまーうまー!」
「俺は馬ではないっ! そんなにウマウマ言うなっ! てか踊るなっ!」
「こっちは必死なのだ…お願いだからもう少し静かにしてくれ…」
ツッコミを入れる二人の心中や如何に………。
恐らく、この勝負に至った事を後悔しているのだけは確かだろう。
勝負という名目がある以上、この楽しい争い!?にも、終わりが訪れる。
「どうだ、趙雲! やはり馬を乗りこなすのは俺の方が上手だっ!」
逸早く暴れ馬を手懐け、その背に乗った馬超が声を高らかに勝利を宣言する事で決着がついた。
その声に力なくがっくりと肩を落とす趙雲。
刹那、一瞬手綱を掴む腕が緩み…完全に制御し切れていない暴れ馬が再び鼻息を荒くした。
の小さな姿に反応するかのように前足を高く上げ、嘶く暴れ馬。
彼女の身に、今まさに最大の危機が訪れようとしていた。
しかし――
「っ!」
勢いよく下ろされようとしていた脚は、趙雲が再び手綱を引く事で勢いを失った。
だが、その弾みで彼の身体が地に打ち付けられる。
「子龍! …ごめん、皆この馬をどうにかしてくれないかな」
直ぐに趙雲の元へ駆け寄り、周りで息を呑んでいる兵に声を掛ける。
その顔には安堵と困惑の入り混じった表情が浮かんでいる。
「なんでまたこんな無茶な勝負を…子龍、キミはもっと冷静な人だと思ってたけどな」
「なんで、とは…。 、そもそもお前がだな――」
「…はいはい、小姑さんのお小言は後で聞くから。 今は大人しく姉さんに治療してもらお」
この期に及んでも未だ説教する気か、と心の隅で思っただったが…刹那直ぐに表情を笑顔に変えた。
これは、ボクの事を全て理解した上でしてくれている事なんだ。
そして…そんなボクと付き合ってくれている。
「子龍、昨日は怒ってごめんな」
勘違いしてたよ。
キミはちゃんとボクのありのままを好きでいてくれてるんだよ、な――。
もう一頭の馬を手懐け、愛馬の元へと歩み寄る勝者、馬超。
しかしこの勝負には賞品どころか、皆からの賛辞もなく…結局、この勝負は己の自尊心を維持するだけのものとなった。
しかも、元凶である自身からは「結局、何をかけての勝負だったんだ?」と訊き返される始末。
馬超は肩から盛大に溜息を吐くと
「絶影…俺はもう疲れたよ」
傍らで心配そうに見つめる愛馬に力なくぐったりと凭れかかった。
その横をが通りかかる。
そして…その萎えた様子の馬超を哀れみを含んだ瞳で見つめながらそっと肩に手を添えた。
「馬超、大丈夫?………魂が抜けかかってるよ」
今はつかの間ではあるが、安息の時。
その穏やかな雰囲気をぶち壊す声が、今日も空を響かせる――。
「こらっ! 、未だ私の話は終わってない! 待てっ!」
「だが断る!」
幾ら子龍のお小言でも、流石に毎日聞いてると嫌んなっちゃうよ!
そんな二人を、鮮やかな橙色が優しく染め上げていた――
劇終。
アトガキ
長らくお待たせいたしましたっ!
2周年&4万打御礼企画、第1弾の完成にございますーwww
今回は投票項目それぞれ1位を飾ったものをチョイスしてお話を書かせていただきましたが…
途中、様々なすったもんだがあり…完全にスランプでした。
が…漸く笑いの女神が微笑んでくださいました。
しかし、今回はいたるところにパクっているようなネタが突っ走っております。
それは何処か…本編を読んだ皆様なら解る筈です(汗)。
そして、今回も情報屋がいいネタを仕入れてきてくれました(寿司屋か!
この場を借りて情報屋に感謝の気持ちをブチ撒けます。ありがとう!
相変わらず微妙なギャグ(しかも長い)ですが…
少しでも楽しんでくだされば幸いに思います。
ここまでお読みくださってありがとうございました。
2008.08.02 飛鳥 拝
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