サンキュ。
※甘めオチのが良い方は反転させずに読む事をお勧めします。
「お帰り」
「ただいま、子龍」
子龍というのはあたしの大好きな真・三國無双の蜀の猛将『趙雲』のこと
大好き、というのは無双にもこの子龍にもかかっている
ちなみに今の会話はあたしの妄想ではない
・・・・最初はそうだと思ったけど
現実問題、彼はどういう訳かゲームの世界から出て来てこの時代、この日本にいるのだ
彼は一人暮らししているあたしと一緒に生活している
あたしが仕事から帰ってくるとこうして子犬か新妻のように玄関で出迎えてくれる
一人暮らしだから今まで『おかえり』を言ってくれる人なんていなくて
さみしくて無駄にへこんでしまう日もあったけど
今は違う
大好きな子龍がいて、出迎えてくれて
本当に幸せ
そして気付いた
いつ元の世界に還るとも知れない人をあたしは愛してしまった
子龍もあたしを愛していると言ってくれた
「はい、おみやげ」
「いつもありがとう」
「そこのコンビニで買ってきただけだけどね」
「嬉しいよ」
あたしが買ってきたのは生クリームがのっているプリン2つ
何だか意外にも子龍がこっちの世界の食べ物で1番に気にいったのはこのプリンらしく
あたしがデザートで食べていたのを一口あげたら『とてもおいしいです!』と言っていたので
それ以来2つづつ買ってくることにしている
「今すぐごはん作るね・・・って、あれ?」
「不馴れだが今日は私が作ってみたんだ」
テーブルの上にはきれいに並べられた二人分の炒飯とスープ
そういえばすごくいい匂いがしていたもんね
あたし達はさっそくテーブルを囲んだ
「いただきます」
「口に合うといいんだが・・・」
「・・・・うん!すっごいおいしいっ!!」
「にそう言ってもらえて良かった」
本当においしくってあたしは炒飯をペロッと平らげてしまった
子龍ほんとになんでも器用にこなすんだなぁ
「じゃぁ子龍が作ってくれたし、あたしが洗い物するね」
「いや、いつも世話になりっぱなしだから私がやろう」
普段だって洗い物は子龍がしてくれてるじゃない
それなのに自分にさせてくれという子龍は本当に真面目な人だ
なんだかおかしくて思わず「ぷっ」と吹き出してしまった
「あはは!じゃぁ二人でやろうよ、洗い物」
「そうだな、そうしようか」
二人で流し台の前に並んであたしがお皿を洗って、子龍が拭く
その間も他愛ない話が途切れない
あっという間にお皿は片付き、あたしはお風呂に入る事にした
先にお風呂に入ったあたしに代わり、今は子龍がお風呂に入っている
ソファに座って髪をタオルドライしているとテレビでは天気予報が始まった
「・・・今日の夜中から明日までずっと雨か」
雨は嫌い
良い事を流し去って、悪い事が降り注ぐような気がして
「・・・・・っ!」
一瞬、悪寒が走った
嫌だ、この感じ。
あたしはいても立ってもいられなくなった
「いい湯だった」
「・・・・・子龍」
「?」
あたしはちょうどリビングに入ってきた子龍に抱き着いた
そして子龍も最初は驚いていたが優しく抱き締めてくれた
お風呂上がりなのも手伝ってじんわり温かい子龍の体はあたしを落ち着かせてくれた
「ごっ・・・ごめん子龍!寒気がして・・・つい」
「」
「もう落ち着いたから!本当にごめんね、いきなり」
「、聞いてくれ。私は本当にを愛している。
が悪寒に襲われたならそれ以上にを安心させる存在になりたい」
「子龍・・・」
一度長くキスすると子龍はあたしを解放した
あたしはなんだか恥ずかしくなって冷蔵庫の方へ歩みよった
「・・・・プリン、食べよっか」
「そうだな」
プリンを冷蔵庫から取り出してソファに並んで座る
一口食べるとひんやり甘いプリンの味が口に広がった
つけっぱなしのテレビは既に他の番組が始まっている
「おいしいね」
「ああ、私の時代にはこんな物とても作れないしな」
子龍がおいしそうにプリンを食べている姿をじっと見つめてしまう
すると子龍が「?」と不思議そうな顔をしたから慌てて目をそらした
プリンを片付け、テレビを二人でしばらく観ていたがその番組も終ってしまったので寝る事にした
想いが通じたとはいえ、あたしはベッドで子龍はその下の床に布団を敷いて寝ている
今日も灯りを消して掛け布団に潜り込む
外では天気予報の通りに雨が降っている
何故だかわからないが、寝つけない
ザァ・・・・という雨の音が大きく感じられた
(子龍もう寝ちゃったよね・・・)
暗闇に慣れてしまった目で子龍の方を見るとやっぱり寝ているようだ
「・・・眠れないか?」
「あっ・・・起こしちゃった?」
「いや、私も寝つけなかったから気にしなくていい」
「子龍・・・そっち行っちゃダメ?」
「えっ!?」
「ダメだよね」
「がそう望むなら・・・」
『じゃぁ遠慮なく』と私は子龍の布団に潜り込んだ
向かい合って寝ていると子龍に抱き締められた
(あったかい・・・)
子供を寝かすように背中をトン、トンと優しく叩くのに不覚にもこの歳で眠くなってしまった
阿斗様並みなのかな、あたしは
途切れそうになる意識の中であたしは言葉を紡いだ
「子龍・・・大好きだよ」
さらに遠くなる意識の中であたしは子龍の言葉を聞いた
「私も誰よりもを愛してる」
あたしを好いてくれてありがとう
あたしを支えてくれてありがとう
いてくれて、来てくれてありがとう、子龍
次の日、目が覚めると子龍はあたしの隣にいなかった
枕元にはキレイに畳まれたパジャマと彼が髪をたばねていた紐
探さなくたってわかる、子龍はもうこの世界にはいない
外では相変わらず雨が降り続けている
あたしの目からも一筋の涙が流れた
+++三國夢祭管理人・ユマ様より+++
『三國夢祭』への御参加、本当にありがとうございます
ささやかではありますがこれが私にできた感謝表明です;
素晴らしい小説を書いてくださった皆様と一緒に並べるたら
投爆でもされそうな作品ですが・・・・お許しください
これのお相手はきょんは陸遜か趙雲で迷ってたんですよねー・・・
参加者様も閲覧者様も、こんな戯言まで読んでいただき、
本当にありがとうございました
飛鳥よりアトガキ
いやいや…祭りの最後を飾る管理人・ユマ様から拝借しました子龍様夢☆
甘〜い!甘すぎるよ!(ちょっち古
反転エンディングはちょっち泣けてしまいましたが…。
私もこんな風に子龍様に包まれてみたい(こら
ユマ様、ありがとうございます☆
そして、今後とも宜しくお願いします!(何を
飛鳥 拝礼
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