カラン、と軽やかな音を立てて扉が開く。
 その向こうに待っているのは今回の仕掛け役たち。
 彼(彼女)らは私の顔を見るなり口を揃えて事の顛末を訊いてきた。
 それもそうだ。
 この、私が考えた企ては皆を巻き込んで既に自分だけのものではなくなっているのだから。

 だけど――

 全てを話し終えた後の皆の反応を楽しみにしながら、私は輪の中心へと歩を進めた――










 知らぬは奴ばかりなり 〜煌きは心の中に・おまけ〜










 「えぇぇぇぇえっ!? 何なんですか姐さんそのオチはっ!?」
 「ん?何って………そのまんま話しただけなんだけど〜」
 「ふっ、やはりお前らしく落ち着いたな
 「………もオチついてどうするンだ」

 私が事の顛末を話し終えると、みんなから想像通りの反応が返って来た。
 バーのバーテン連中は目を丸くしたり驚きで口をあんぐりしていたり。
 ちゃんに至っては成実と頑張った結果がこれかい!と半分お怒りの様子。
 そして大概の事には動じないにすかさずツッコミを入れる御前。
 その彼女には今回一番苦労をさせたから、改めて深々と頭を下げる。

 「ありがとう御前。 あのドレスのおかげで大成功だったよ」
 「いやいや、姐さんのお役に立ててよかったです。 でも、ある程度予測していたとはいえ本当にそんな事するなんて思いませんでしたよ」
 「やっぱり姐さんの無茶振りに対抗出来るのはさんだけ、ってか」
 「あはははは〜でも、惇兄と完全に仲直りするにはこれが手っ取り早いと思ってね」



 そう、これが私の用意した悪戯の最終仕上げ。
 氏康に頼んで腕の立つ下っ端たちを河原に差し向けて、惇兄と一緒に退治する。
 彼らにしてみれば氏康と肩を並べる私と一戦を交えたいと言っていたから、丁度良かったでしょ。
 私にしてみても、あれで惇兄と元の仲に戻れたから万々歳………だけど。

 「うーーーん、ちょいとやりすぎちゃったかなぁ」
 「えぇえぇ、やりすぎですって姐さん! どうせならヤツと一騎打ちの方がよっぽど面白か――」
 「はいはい〜さんそこまで! 姐さんも 『一応は』 反省してるンですから」
 「がるるるるる………」

 流石にこれは反省すべきだよ、ね。
 でも、ちゃんのツッコミどころがちょいと違うような………



 ………ま、いっか。



 みんなの反応は本当に様々だけど、半分?は私のために動いてくれたのは確か。
 それなら、然るべきお礼とお詫びをしなきゃね。
 だったら、私の取る行動はひとつ!



 「あ、ちゃん………ちょいと店主にお願いして、今夜これからこの店を貸切にしてくれないかな?」
 「がるる………って、え? 姐さん今何と?」
 「だから、今夜はお礼とお詫びを兼ねて私が奢るから〜ここを貸切って、って」

 「………いやぁ〜ん姐さんたらオットコマエ〜♪ そういう事なら直ぐに話して来ます!」



 これも一番手っ取り早い方法。
 自分のこの先の経済状況が少々気になるけれど、今夜はちょっとしたパーティでもいかが?ってね。



 それは何のお祝い?
 その答えは誰も解らない――勿論、私自身も。
 だけど、今夜は楽しくなる事間違いなし!



 「――あ、もしもし氏康? これからバーに来ない?――いやいや、お礼も兼ねて今夜は奢るから!」
 「――もしもし〜くのちゃん、今何処?――とりあえずほっぽり出してバーに来いや〜奢るし!」



 勿論、影の仕掛け人や私が不在の間頑張ってくれた娘にも連絡を入れる。
 恐らく、氏康は私達が痛めつけちゃった下っ端クンたちも連れて来るだろう。
 改めて考えてみれば、私はたくさんの人を巻き込んじゃったんだよね。

 うん、その辺は本当に反省しなきゃ。



 「皆さんに報告! 店長がOK出してくれました! もうこれは私も飲んでいいって事ですよね?ね?」
 「あははは………でも程々にしてくださいよ、さん」
 「あ〜〜〜さんににいぢめられた〜〜〜」
 「………まだ苛めてはいませんが?」
 「まだ、って………やっぱりいぢめるんだ〜〜〜」
 「「あはははははは!」」



 私の想いを余所に、早くも賑やかになる店内。
 溢れる笑顔たちに、私は心の中で改めてお礼とお詫びを告げた。



 ごめん、そしてありがとう――仲間達。










 ここはたくさんの人達が行き交い、様々なドラマを描いていく街――無双。



      ――その片隅で、今夜は素敵なひとときが繰り広げられるだろう――










 劇終。


 ※ 念のため ※
   作中にて、人物が居合刀(模擬刀)を使用して戦っている表現がありますが………
   現実にやると間違いなく銃刀法違反でもお縄になります。
   それが真剣でなくても、です。


 アトガキ
 ども、忙しさに負けて少々パワーダウンしていた飛鳥です。
 此度は異色パラレルの、これまた異色!
 筆者3名の連作――リレー方式のお話の最終話となります。

 アンカーがアタクシで果たしてよかったのか悪かったのか…
 その辺は皆様にお任せいたします(←逃げた!

 話の発端は、別企画の絵チャにて私が話を振った事にあります。
 「私に何か書いてくれ〜〜〜」と(笑)。
 まぁ結果的にはテメェの首を絞める事にもなったんですがwww

 実に俺得なお話になっています。
 大好きな惇兄と絡めましたし、軽いけれど戦闘シーンも書けましたからね♪
 しかし…前に書いてくださったお嬢さんたちの事を考えていたら、、、
 何とも気合が空回り(汗)しちまいまして、少々引っ張る羽目に。
 お嬢さん方、本当にお待たせして申し訳ありませんでした。。。

 とにかく!(←また逃げた
 またしてもやりたい放題やりまくった結果のお話ですが………
 何時ものように紫乃瑪ちゃんのみ、お持ち帰り可能です♪
 もう煮るなり焼くなり燃やすなり?…お好きに調理してくださりませ(笑



 最後に、ここまで読んでくださった方々へ心より感謝いたします。


 2013.08.20   御巫飛鳥 拝


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