女優達の幕舎 〜部外者(?)乱入編 2〜

 注意:このお話は…今まで及び今後企画夢で登場するヒロイン達の―
     それぞれ一つの設定に限定してお送りいたします。
     あくまで私・瑞樹飛鳥のイメージですので…
     まぁ、流す程度にご覧ください。
     (ネタバレもあるやも知れませぬが。。。)










 分岐点、とも言うべきこの座敷。
 広々とした空間に、何とも言えない雰囲気が流れていく。
 戦乱の世でもなく、騒々しいコンクリートジャングルでもない…大広間のような部屋の中には、筆者に呼ばれた女優達が雁首を揃えて卓についていた。
 美しくも個性的な女達を目の前に、筆者は何を語ろうとしているのか。
 卓に肘を付き、彼女達を見るその瞳は…未だ全てを明かさない―。













 といったわけで…これから座談会(てか、集団インタビュー)を開始しようと思ったのだが…
 今、緋祢が吐いた
 「だって…これからの話、間違いなく長くなるから」
 との言葉に、他のヒロイン達が次々に反応した。

 「ごめん、飛鳥。 アタシもちょっと用足してくる」
 「だねぇ…途中で話を折るわけにもいかないもんね。 私も行ってくるね」
 「では、私達も…。 行きましょう、紅紗」
 「………皆で揃って、っていうのが気になるが…仕方ないな」

 …所謂 『連れション』 である(笑)。
 そんなに広いトイレがこの世界にあるのか…と心の中でツッコミを入れつつ私も行っておくかなと思い席を立った刹那、私の顔をまじまじと見る二つの瞳に気付いた。

 「…貴女も行ってしまうの? 飛鳥」

 ―そうか…君はもう済んでたね、緋祢。

 「…ここに一人でいるのは嫌。 だから行かないで」

 ―うむ。 了解。

 その彼女、普段は結構一人でいる事が多いらしいが…流石にこのような大きな部屋で一人っきりになるのは嫌なのだろう。
 初めに待っていた私自身も空虚感を感じていたのだから、それは間違いない。
 話の進行役が万一中座してしまったらそれこそ埒が明かなくなるのだが…
 何とも可愛らしい?緋祢のお願いを素直に聞き入れ、再び座り直した。
 すると、丁度私の対面に座る彼女が小さく背中を丸めてじっと私の顔を見つめてくる。

 ―ん? どうした?

 「…いい笑顔だな、と思って」

 ―うっは、いきなり言われると照れくさいんだけど。

 「…何も考えていないみたい」

 ― そ こ か。

 人を持ち上げておいて落とす。
 …案外、君が一番の曲者かも知れないな。
 と、思いつつも…しっかりと会話をしてくるところを考えると、警戒心はなんとか解けたかなと判断する。







 そんな会話を交わしている間に、他のヒロイン達が揃って帰って来た。
 トイレの渋滞には出くわさなかったらしく(←当然だ)、あまり時間がかからずにこれで漸く皆揃ったわけだ。
 さて、いい加減本題に移らねば…。

 ―皆が揃った事だし、そろそろ本格的に始めますか。

 「で…? 何を話すのさ、飛鳥」

 卓に身を乗り出すようにして興味津々の様子を呈する夕鷺。
 彼女に向かってにやりと笑みを浮かべると、私はきっぱりと言い放った。

 ―すまん、君達を呼び出したのはいいが…実は1ヶ月記念ってだけで何も考えてないんだ。

 「へっ…?」
 「ちょ、飛鳥…何やってんの!?」
 「笑顔で何を言い出すかと思えば…怠慢だな」
 「笑い事ではないでしょう、飛鳥」

 間髪入れずこの場に彼女達のツッコミが飛び交う。
 これはある意味私の狙い通り(←本当かよ)なのだが…
 一番最後にぽそりと呟かれた緋祢の一言が私の心にぐさりと突き刺さった。

 「………筆者失格ね」

 ―うわ、酷ぇ。

 筆者としては個性的な彼女達が集まれば自然と話が出て来るだろうと踏んだんだが…見事に罵倒されてしまった。
 しかし、ここで私が 『筆者失格』 のレッテルを貼られたら…誰が彼女達の活躍を書くんだ???
 と緋祢に逆ツッコミをしたくなるが、ここは抑える。
 ここで帰られても困るし、何より話を続けなければ…。
 視線を落としながら思った刹那―



 ぱぁんっ!



 「…1ヶ月通過、おめでとう…飛鳥」

 私の目の前でクラッカーが鳴り、卓の上に紙吹雪やら紙テープやら…中身が飛び散った。
 突然の事で驚きながら音の方向を見ると、空になったクラッカーを持ったままの緋祢が微かに笑っている。
 …やられた。
 まさにサプライズ、である。
 この場でお祝いの言葉をもらうのは勿論、何より緋祢がクラッカーを持っていた事に―。

 ―驚いた。 ありがとう、緋祢。

 「…どういたしまして」

 普段、笑わない娘が笑顔を見せると…なんとも反則的だ。
 私が思うのも何だが…めっちゃ可愛いぞ、おい。



 そして、それを合図にやんやの拍手が沸き起こる。
 ヒロイン達から次々にお祝いの言葉を掛けられ、喜びに打ちひしがれながらそれに答える私。
 未だ話で書いた事がないのにここまでやられると…恥ずかしいやら、申し訳ないやら(笑)。

 そんなわけで、漸く話に勢いがつき始めた―。







 ―1ヶ月。 思えばあっという間だったけど、君達は大分待たされている感じがするかな?

 私の質問に最初に反応したのは夕鷺。
 彼女、忍設定の割にはよく話に食いついてくれる。

 「アタシは1回出番があったし、アンタともよく絡んでるから…思ったより早かったよ」

 ―ふむぃ。 確かに…君はキャラ的に絡みやすいし。

 「…それって、アタシが弄られ役って事かい?」

 ―いや…神出鬼没って意味で。

 「そっか。 ならいいや」

 ―いいのかい。

 忍びならば神出鬼没は当然の事。
 まぁ、彼女なら何処にでも…三国の世界にも出没しそうな気がしないでもないが。
 …いや待て、これは面白いかも知れないぞ。
 などと勝手にネタを思い付いている私だが…ここで考え込むわけにもいかないので、次のヒロインに話を振る。

 ―じゃ、君等は? 翠耀、紅紗。

 「あら、私達はやっぱり 『二人一組』 なの?」

 ―すまん、翠耀。 この振り方は少々失礼だったな。

 「いいえ…大丈夫よ、飛鳥。 寧ろ、貴女には感謝したい位だもの」
 「だよな、翠耀。 私も、君には大いに感謝している」

 ―ん? 何で?

 「簡単だ。 君が 『翠耀の相棒が欲しい』 と言わなかったら、私という人物は生まれなかった」

 ―うわ、泣かせるような事を言ってくれる。

 「だから、この1ヶ月も長くは感じなかったの。 …紅紗が居てくれたから」
 「私も同じだ。 翠耀の存在が大きかった。 …私達はずっと一緒だったからな」

 ―あの…君達、このまま行くとヘタな誤解を招くぞ(苦笑)。

 「安心しろ、飛鳥。 私達の恋愛対象は間違いなく男…そういう仕様だ」

 ―まぁ、確かに…てか、そうでなくては話にならんし、こっちが困るわい。

 何だかアヤシイ方向に行き始めたんで、ここはすっぱり切らせていただく(笑)。
 …言っておくが、二人は仲がいいというだけで、決してレ●ではない。
 という注釈を加えつつ―

 ―さて、お次は英蓮。

 「はい? 私に関しては言うまでもないでしょ、飛鳥。 待たされるのは慣れてるし」

 ―すまん。 君には何時も謝ってばかりだ。

 「ただ…早く明灯と絡みたい、ってとこかな。 そこんとこ宜しくね」

 ―うわ、何気に急かされた? 英蓮、アンタ最近黒いな…。

 彼女にとっては愚問だったようだ(苦笑)。
 しかし…メインが何人か居ると大変なんだ、何かと。
 その辺は解ってくれ、英蓮…。 orz
 しかし、苦悩の表情を浮かべる私を余所に…彼女の表情は明るい。
 やはり彼女は食えんキャラだ(←何を今更)。

 そして、最後に控えるは緋祢。
 彼女の行動には謎が多いという設定(←拍手お礼SSを参照のこと)なので、どう返って来るかが楽しみ。
 だが―

 ―ん? 緋祢…?

 「………zzz」

 ―寝るなぁぁぁぁぁっ!!!

 「…ふみゅ? …あ、ごめんなさい。 で、何?」

 ―あのぉ…どの辺から寝てらしたのでしょうか? 緋祢お嬢様。

 「…ほんの少しだけ。 最近よく眠れないの。 …貴女に酷使されて―」

 ―ちょ、ちょっと待て。 それ以上は―

 「…今出ている話、私には結構ハードなの。 いきなりあんな…」

 
―ぅわぁっ!? ばっ、バラすなぁぁぁっ!!!





    ☆ ☆ ☆   しばらくお待ちください   ☆ ☆ ☆





 ―ぜぇ、ぜぇ…。 緋祢クン、お願いだから公開前のネタバレは止めてくれ。

 「…ごめんなさい。 楽しいから、つい」

 ―何が楽しいんだ? 私をからかうのが、か?

 「…いろんな意味で」

 ―うん、だろうね…。 君の黒い笑顔が全てを物語ってるよ。

 緋祢の話が暴走する前に…慌てて卓を乗り越えながら彼女の傍に寄り、口を塞いだ。
 おかげで次回作のネタバレは少しだけに留める事ができたのだが…

 …ある意味、もう手遅れかも知れん…。 orz













 えー。
 『今回、完全なギャグ担当は誰だ?』
 と筆者自身も考えながら話を進めていたんだが…一つだけ解った事がある。

 …個性的なキャラが集まると、筆者の想像を越えるネタが随所に現れる。

 間違いない。
 これは…彼女達がしっかりと一人歩きしている証拠だ。
 てか…こんな事で振り回されるなよ、筆者。 orz













 ―まぁ、そんなわけで1ヶ月記念の集団インタビューだったわけだが…。

 「えっ? もしかして飛鳥、もうシメに入ってる?」

 ―ん? 未だ話し足りないか? 英蓮。

 「当たり前じゃない! だって、他の娘との絡みもなく終わらせるの? それって面白くなくない?」
 「やっと皆の舌が滑らかになって来た時じゃないのさ。 アタシも英蓮と同意見だね」
 「夕鷺、君もいい事を言う。 私もこれで終わりだなんて嫌だ」
 「紅紗がそう言うなら…私ももっとお話するわ」

 ―君達、結構勝手な事言ってるけど…これ以上長くすると、何かと都合が―。

 「なら…なんでわざわざアタシ達を呼んだのさ」

 ―ぐっ…。

 流石にそう言われると辛い。
 しかし、女優達の冷たい視線が降り注ぐ中、私は意を決して徐に席を立つ。

 ―悪いが、君達のためにも…これで終わらせてくれ―

 「………やらせない」

 ―うわっ!? 緋祢、ちょ、おま、何をするんだ…っ!!!

 「…逃げようとしても、無駄だから」

 緋祢のトドメの一言と共に私の両肩ががしっと掴まれる。
 そして―

 「私より速く動くなんて…緋祢、お見事!」
 「緋祢、アンタもやるじゃん!」
 「あら、これでは…筆者も形無しね」
 「翠耀、そこまではっきり言うと…私達の出番がなくなるぞ」

 ヒロイン一同の遠慮ない言葉達を浴びるように聞きながら―
 ほぼ強制的に卓に再び座らされた。



 ―君達、私をこうまでして…何を話したいんだ!?
  …覚えてろよ、くそ。 (ぼそ)













 女3人集まれば、かしましい。

 ♪〜わてら陽気なかしまし娘〜♪ (←古っ!)

 とはよく言ったもんで…それはこの世界でも変わらないらしい。
 この後、どれだけ付き合わされるのか…考えただけで怖気が走ったりもするのだが…

 個性的なヒロインに囲まれて賑やかに話をするのも…たまには悪くないな、と思った―。





 このお話の続きは、またの機会に―。







 劇終。



 アトガキ

 すみません、無駄に続いた1ヶ月記念です(汗
 お待たせいたしました orz
 しかし…やはりスペース的な意味で中途半端な終わり方となりました。
 (↑強引、とも言う)
 この続きは…結構楽しいので、次の記念に取っておこうかと思います。
 このお話で少しでも楽しんでくださると幸いです。

 御礼に関しては…前半で書いたので割愛させていただきますが…
 この場を借りて、相棒である紫緋さんに感謝の気持ちを。

 「こんなアホーな私に付き合ってくれてありがとうございます!
 これからも宜しくお願いしますね!」

 そして、皆様。
 今後とも当企画 『 I×C+H.P 』 を宜しくお願い致します!!!

 ということで…担当・飛鳥でした。
 (2008.05.15)



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