女優達の幕舎
注意:このお話は…今まで及び今後企画夢で登場するヒロイン達の―
それぞれ一つの設定に限定してお送りいたします。
あくまで私・瑞樹飛鳥のイメージですので…
参考までにご覧ください。
(ネタバレもあるやも知れませぬ。。。)
ここは、女達が集う大きな部屋。
彼女達が主に出演するであろう舞台らしく、そこは座敷であった。
その中心、大判の座布団にちょこんと正座をし、自ら淹れたお茶を飲んでいる女が一人。
それに、最初に出番を終えたばかりの女が声をかける―。
「ただいま!」
「お疲れ様でした、爽瞬…いろいろと大変だったみたいですわね」
「ありがとう、明灯。 まぁ…あの人の話の長さにはちょっと萎えたけど…それなりに楽しめたからいいと思わなくちゃ」
「くすっ…。 貴女が疲れているところは流石に直視したくありませんから。 …想像もつきませんけれど」
「…言ってくれるわね」
明灯の鋭い一言に、一瞬拳を握り締めながらもからからと笑い出す爽瞬。
やっぱりこの人は陸遜に似てるわ…と。
明灯に座布団を勧められ、隣に足を投げ出して座る。
そして、勢い良く腕を挙げて背伸びをすると―
「あらあら…はしたない。 婦女子なるもの、簡単に足を晒すものではないでしょう?爽瞬様」
しずしずと着物の長い裾を引き摺るようにして二人に近付く姫の姿。
爽瞬は彼女の発した言葉に直ぐさま反応する。
「貴女の居る世界とは少々勝手が違うのよ。 戦う女はこれくらいしなきゃ、ウケも狙えないわ」
「でも…少しは慎みというものが…」
「あん、もう…堅い事言いっこなしよ、お遥ちゃん!」
『お遥ちゃん』と気軽に呼ばれた女は爽瞬のさっぱりした態度が少々羨ましかった。
私も、彼女みたいに…たまにはどーん!と足を投げ出して座りたい。
普通に、戦場へ出て…己の隠れたものを開花させたい。
だけど…それは作中の事だから、と半分諦めムードの遥姫に、明灯が声をかけながら座布団を勧める。
「そうですわ、お遥さん…ここは女だけの場所なのだから、少しは気を抜いても罰は当たりませんわ」
「でも、明灯様…貴女はちゃんと座っていますわ」
勧められた座布団ににちょこんと腰をかけながら、遥姫は問いに近い言葉を放った。
流石に着物ではどーん!というわけにはいかず、足を揃えて前に出すくらいに留まっている。
それでも、このように座る事が滅多にない遥姫には新鮮だった。
それを見て、明灯は満足げに頷き…遥姫にかけられた問いに答えるべく口を開きかけるが―
「今の明灯が足を投げ出したら…それこそ『はしたない』事になるわよ、お遥」
別の女から出た言葉に遮られた。
3人がその声の方向に視線を向けると―
「あら? 未だ全員揃ってないみたいね…よかった」
大きなバッグを肩から提げた凛とした現代女性が少々距離を開けて立っていた。
「…悠ちゃん! 何処行ってたの?」
「ちょっと三国の方に面白い場所があったから…ヤボ用よ」
「…本当に好奇心旺盛なのですね、悠樹」
「まぁ、仕事半分みたいなものね。 社会人は何気に多忙なんですのよ」
おほほ、とおどけた調子で軽く笑いながら腕に力瘤をこさえる悠樹。
この場では本業の事など気にしなくてもいいのだが…。
仕事を中途半端にするのは彼女の性格からして納得が行かないのだろう。
流石はキャリアウーマン、といったところか。
彼女の存在感が大きいのか、自己主張が激しいのか…話題が悠樹の方へ完全に逸れそうになったその時―
「…で、悠樹様? 何故明灯様がはしたないとお言いですの?」
3人のやりとりを静かに見ていた遥姫が漸く口を開いた。
やはり疑問だったのだろう…しかし、話を途中で遮る事をしないのは彼女の性格所以か。
刹那、聞かれた悠樹がくすくすと笑い出す。
「だって…今の明灯は無双5バージョンなのよ? 爽瞬みたいに座ったら、足どころか…ヘタしたら中身まで丸見えだわ」
「はっ………きゃっ!!!」
悠樹の一言に反射して明灯の脚に視線を泳がすが…長いスカートのスリットから僅かに覗く生々しい太腿に遥姫は両手で顔を覆ってしまった。
「いけません、明灯様! そのような挑発的な格好を………」
「…あのね、お遥ちゃん…それ言ったら私なんかもっと危ないじゃないの」
「いいえ、爽瞬様はいいんです。 最初から出していれば挑発的ではありませんから」
「………私はいいのかい」
遥姫の態度にがっくりと肩を落とす爽瞬。
しかし、彼女の晒された足は…確かに色気というよりも健康美といった感じだ。
やはり、チラリズムが全てなのだろうか………。
苦笑を浮かべる爽瞬の様子に、その場は和やかな笑いに包まれた。
が、しかし―
「ぎゃー! 遅れちゃったぃ! ゲーセンで遊びすぎたっ!!!」
ごめーん!と悠樹の後ろから襲い掛かる疾風の如き女。
扉を開けるなり、ドタドタと部屋に入って来たその姿を全身で受け止めながら、悠樹はツッコミのような言葉をかける。
「こらこら…とりあえず靴は脱いで上がろうね、蓮」
「うっは、忘れてた…ありがと、悠樹」
ポリポリと頭をかきながら靴を手ですぽんと引っこ抜く。
片足づつなので、些か危なっかしいのだが…見ていると可愛らしい。
ケンケンしながら少々必死に見える靴との格闘を、一同は暖かい目で見ていた。
蓮VS靴の勝敗は言うまでもなく…落ち着いた一同は輪を描くように座っていた。
一同、と言っても…今居る人数分のお茶を煎れるべく中座した明灯と遥姫を除いた3人だけだが。
先程までバタバタしていた蓮が、乱れた髪をコームで整えながら口を開く。
「あれ、全員未だ揃ってないんだね…みんなどうしたの?」
「流石の私も…そこまで調べられないわよ、蓮。 そうだ、夕鷺はこの後出番らしいわよ」
「…それを言ったら、悠ちゃん…貴女もじゃないの?」
「私はいいのよ、爽瞬。 あの人、もう私の設定を固めているみたいだから…私が出しゃばるところじゃないし」
貴女はいきなりの出番で大変だったでしょうけど、とくすり笑う悠樹。
それに「まぁ、大した事なかったけどね」とからから笑う爽瞬。
その二人のやり取りを見ながら、蓮は何時指名を受けるか…お題は何になるか…いろいろと思案していた。
何時もとは違う設定で…私にはどんな恋愛が待っているのだろう―。
そんな事を考えている間にも話は進んでいく。
「で…翠耀と緋祢は何してるの? 爽瞬、貴女は何か聞いてない?」
「…さぁね。 スーちゃんは紅ちゃんを引き連れていろいろ歩き回ってるみたい。 美女が二人揃えば怖いものなしでしょ。 だけど…緋祢ちゃんは一人で居る事の方が多いから、ホントに解んない」
「うん…緋祢も性根は悪くないんだけどな。 あの娘とはもっと仲良くなりたいのよ」
「んじゃさ、悠樹。 あの人にお願いしてみたら? 『お話の中で絡めて』って。 現代ヒロイン同士だから、問題ないっしょ!」
「うわ、それはすっ………っごく難題を吹っかけるってことよ、蓮。 あの人にケンカ売ってない?」
「あはは………恨みはないんだけどね。 ちょっとしたプレッシャー?」
「なんだそりゃ」
パソコンの前で苦悩の表情を浮かべる筆者を余所に、楽しげに笑う3名。
そこに、
「皆さん、お茶が入りましたわ………あら、皆さん楽しそうですわね」
お茶を煎れ終えた明灯と遥姫が戻って来た―。
「筆者さんも大変だぁ。 こんな個性的な娘達を纏めなきゃなんないんだから」
―いや、この娘達をいっぺんに出すわけじゃないから、問題ないでしょ。
「でも、アンタんとこの蓮が…怖い事言ってるよ?」
―あまり考えないようにする。 だって…コラボはめーちゃん絡みと翠耀&紅紗だけで充分だし。
「確かに…あの娘達の個性がぶつかり合ったらとんでもない事になりそうだしね」
―…それをアンタが言うか。
「あっははー! アタシをこんな人格にしたアンタが悪いんだ、飛鳥」
―返す言葉がありません。。。
「…んじゃ、そろそろお話の方に行くとしますか! 頑張って、飛鳥!」
―アンタもね、夕鷺―。
大部屋の天井からどろん、と姿を消す夕鷺。
さぁ、彼女達に…今後どのようなお話が待ち受けているのか―。
それは、筆者と…神のみぞ知る―。
劇終
連続で拍手を押してくださってありがとうございます!
このテンションは、皆様のご支援あってこそ!
これからもますます精進してまいりますwww
さて、今回のヒロインSSは如何だったでしょうか?
スペース的な関係で全キャラ出す事ができませんでしたが…
今後、好評であれば別バージョンもお送りしたいと思います。
今後とも I×C+H.P を宜しくお願い致します!
(こちらの担当は飛鳥でした。) ’08.04.10
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