若き女優たちの日常?

 注意:このお話は…今まで及び今後企画夢で登場するヒロインの―
     一つの設定に限定してお送りいたします。
     あくまで私・御巫飛鳥のイメージですので…
     参考までにご覧ください。
     (ネタバレもあるやも知れませぬ。。。)










 時は既に深夜を差し…良い子どころか、明日のある大の大人までもが寝静まる頃――。
 パソコンを目の前に苦悩する女が居た。
 キーボードに手をかけたまま固まる女…そう、私はこのシリーズの筆者だ(汗)。

 ――はぁ、直ぐに物が書けるお人が羨ましい…。

 だが、固まろうが溜息を吐こうが…頭に浮かばなければ話も書きようがない。
 そこで私は考えた。

 ――そうだ。 彼女達の日常をちょいと覗いちまえ!



 思い立ったが吉日。
 私は次の朝、大きな扉から外へと飛び出していた――。













 キーンコーンカーンコーン♪



 蓮の進行方向から私にとっては懐かしい(!?)音が響いた。
 学校に向かって己の限界に挑戦!とばかりに全力疾走する蓮。
 そして、チャイムの音をその耳に捉えた瞬間――

 「うっは、これって予鈴っ!?」

 半分涙目で叫ぶ彼女。
 制服のスカートが捲れるのも気にしない…いや、スカートの下には所謂『見せパン』を穿いているから平気なのだろうが…。
 大股で走る姿は些か目に余るものがある。
 しかし、こんなに一生懸命になっていても時間は待ってくれる筈もなく――。



 キーンコーンカーンコーン♪



 蓮の努力(?)も虚しく、始業の時を告げるチャイムが高らかに鳴った。
 …遅刻、確定ですな。
 刹那、蓮の足がぴたりと止まる。
 あれだけ全力疾走していたのに慣性の法則も無視したような止まり方は、蓮にしか出来ない特技のようなものだ。 …自慢にはならないが。
 そして、肩で大きく息を吐き、視線を天へと走らせてちょっとだけ考えると…何を思ったのか、進行方向とは違った方向に足を向けて歩き出した。
 「どうせ間に合わないんだったら…今日はサボっちゃおうっと♪ 母さん達も今日家に居ないし〜」
 携帯を片手に、独り言を呟きながら――。

 ――おいおい(汗)。
  今時の若いモンはこんな感じなのか? えぇ!? そうなのかっ!?

 自分が一気に年寄りになった気分だ(苦笑)。
 さっきまで必死に学校へと赴いていた足を、間に合わないと思えば直ぐさま違う方向へ…。
 ゆとりか、これがゆとりというモノなのかっ!
 どっかでおかぁちゃんが泣いてるぞ、と訴えたくもなるが、ここは覗いている身。
 とりあえず遠くからコソーリ後を追いかける事にする。
 いきなりの展開………とんだ密着取材だ。







 平日の朝。
 ゲーセンやカラオケボックスなどの娯楽施設が立ち並ぶ、若者のメッカは流石に人も疎らだ。
 そのど真ん中を制服姿で堂々と闊歩する蓮。
 ――おいおい…それじゃ何時か補導されるぞ。
 とハラハラしながら見守っていると――

 未だ開店前のゲーセンの軒先、電源の入っていないUFOキャッチャーの前で固まっている女の子が居る。
 驚く事に、彼女も制服姿だ。
 蓮の着ている制服とは色も形も違うから、違う高校に通っている娘なのだろうが――

 ――ちょっと待て。
  あの娘も、私の良く知っているヤツだ………。

 私は更に驚いた。
 何に、って………そりゃいろんな意味でさ。
 まず、女の子…彼女が緋祢だったって事。
 そして、蓮が携帯を耳に押し当てた次の瞬間、緋祢のカバンの中から高らかに携帯の着信音が鳴った事。

 「…もしもし」
 「あっ、緋祢っち? 今何処に居る………って、居たーーーっ!!!」

 ――これだけ人が少ないんだから、歩いている時に気付け。

 緋祢の存在を捉えた蓮がまたしてもスカートを翻しながら颯爽と走り、近付く。
 大股じゃなければ絵になるんだろうが…ま、ここは彼女の性格からして無理だろう(苦笑)。
 程なく向かい合った二人は、にっこりと可愛らしく微笑みながら挨拶を交わす。

 「…おはよう、蓮」
 「おっはよっ♪ …ねぇねぇ、緋祢っちもバックレ?」
 「…学校にいても、楽しくないから」
 「だよねー! じゃさ、折角だし今日も遊ぼう!」
 「…今日は何をして遊ぶの?」
 「んー、まずはマックで相談しよっ!」
 「…了解」

 『今日も』とか『今日は』とか出てくるところを見ると…彼女達は前から仲良しらしい。
 筆者を余所に何処で交流を深めていたんだか。
 しかし、これだけ性格が正反対の彼女達が何故、ここまで仲がいいのか…まぁ、それは蓮の少々強引なところが功を奏しているのだろうな、きっと。

 私は、今やコンビニと同じく24時間営業となったマックへと向かう彼女達をアヤシイオバチャン(←自分で言うな)の如く、追った。







 「…で、どうするの?」
 「うーん、未だゲーセンもカラオケ屋も開いてないし…どうしよっか」

 緋祢はストロベリー、蓮はバニラ…それぞれシェイクの入ったカップを持ち、未だ硬い中身を必死にかき混ぜながら相談を始める。
 …何も買わないで店内に入るのもおかしい話なんで、私も腹が減ってた事もあってついでに朝マックをする。
 いや、朝マックのエッグマフィンが何気に好きでね(←聞いてねぇよ)。

 私がエッグマフィンで至福の時を堪能している間にも彼女らの会話は続く。
 「…ねぇ、蓮。 ここで話をしているだけでも充分に時間つぶしになると思うわ」
 「でも、なんか店員さん達が変な目で私達を見ているような気がするんだけど」

 ――当然だろ。

 「まぁ、何か言われたらなんだかんだで理由つけちゃえばいい話だし」
 「…そうね。 蓮と私が従姉妹同士で、どちらかの親が危篤だ、とか」

 ――かなり無理があるぞ、それは。

 私のツッコミは聞こえる筈もなく、店の中に可愛らしい笑い声が小さく響いた。
 なんか子供が悪戯の相談をしているような…そんな雰囲気が彼女達から感じる。
 …余程気が合うんだろうな。
 普段滅多にお目にかからない緋祢の笑顔が全てを物語っている。
 うーん、実に羨ましい(笑)。

 ――今度は彼女の笑顔がたくさん出てくるお話でも書いてみるか。 『笑顔の行方』とか(←パクリだ、これわ
    …しめた、ネタ一個ゲットだずぇ。





 私が小さなノート(所謂ネタ帳)に今思いついたネタを書いていると、会話が別なものに切り替わる。
 …女の子の会話って、時に話題がコロコロと変わるよね。
 それでも成り立っているんだから凄い(←アンタも通り過ぎて来ただろ)。

 「ってかさ、緋祢っち。 飛鳥んとこのボランティアはどうだったんよ?」
 「…2話連続出演の、アレ?」
 「そうそう。 一度に二人の武将さんをお相手にしたじゃない? どう? やっぱイケメンだった?」

 おっ、何ともタイムリーな!
 私が訊きたい所を突くなんざ…流石はウチのヒロインだ(笑)。

 ――てか蓮…『ぼらんてぃあ』ってどうなんよ orz

 まぁ、確かに出演してくれたところでバイト代(←これもどうよ)を払える程裕福ではないんだが。
 少々ショックを受けつつも話の続きに耳を傾ける。

 「…正直疲れた」
 「えっ!?」
 「…2話連続は流石に私も疲れた。 それにあの二人、ひたすらマイペースだから…性格的にも疲れた」
 「あはははははは…」

 ――うん、それは疲れるね。

 他人事のように言ってる私だが…そもそも彼らを選択したのは私だ。
 すまん、緋祢。
 と、苦笑を浮かべつつちょっと遠くから頭を下げる私。
 だが…次の瞬間に出てきた彼女の言葉に心底驚いた。

 「…でも、私は小次郎の方が好き」
 「どっ………」

 ――何処が好きなんだっ!?

 蓮と台詞がシンクロする。
 考えてみれば作中で名コンビぶりを発揮していたのは小次郎ベースの話だが…
 甘さがあまり感じられなかったあの話で、何処がツボったんだ?
 と考えていると――

 「…彼とはこの先があったとしても片意地張らないで付き合えそうな気がする」
 「ふぅ〜ん、そうなんだ」

 ――それだっ!

 刹那、私の頭の中で一つの野望が生まれる。
 しかし…この野望はある意味自分自身の首を絞める行為になる事間違いなし。
 ………ヤヴァイネタ、ゲットしちまったぃ……… orz







 こうして私の小さな?ツッコミを交えつつ、10時の時報が店内に流れるFMラジオから聞こえた。
 揃って席を立つ緋祢と蓮。
 そして…店員達の変な視線を盗むように店から出た途端、はしゃぎながら先程のゲーセンへと走り出す。

 「あっ、ゲーセン開いてる! 緋祢っち、早く早くっ!」
 「…私、あの大きなぬいぐるみが欲しい」
 「じゃ、先ずはキャッチャーで腕試しだねっ!」

 緋祢の言っている大きなぬいぐるみ…
 それはきっと、あの店頭にあったUFOキャッチャーの真ん中を陣取っていたキャラクターの事だろう。
 未だ電源の入っていない機械の前で固まっていた意味がようやく解った。
 早く、ゲットしたかったんだろうな。
 あの娘にも、実は可愛らしいところがあったんだな、とある意味安堵しながら………私は更に後をつけた。
 しかし――



 「君達、こんな所で何をしている! 学校はもう始まっているんだぞ!」



 楽しげにUFOキャッチャーから早速例の大きなぬいぐるみをゲットして喜んでいる二人の背後から制服姿の男が二人、声をかけた。
 …あっちゃぁ…。
 こういう悪い予感って、なんで的中するんだろう?
 私が最初に懸念していた事が現実になろうとしていた。
 こんな時間からコスプレ兄ちゃんが徘徊しているわけもなく、制服姿の男は何処からどう見ても間違いなくマッポだった(←この表現が誤解を招くんだって!)。
 しかし、当の本人達は微動だにせず。
 突然の警察官の出現にびびるでもなく…かと言って臨戦態勢!?に入るわけでもない。
 ――もしや、先程の無理な設定をひけらかすつもりでは………!?
 しかし――



 「ふふ…ふふふ…おじちゃん、あのね、あたしたち、びょういんのせんせいといっしょ、なの」
 「………ふふ、そう、せんせと、いっしょ、なの」



 彼女達の答えは…ハラハラしている私の想像を遥かに超えていた。
 揃いも揃ってぬいぐるみを抱えながら異様に笑う彼女達からは先程の女子高生らしさは何処へやら、壊れた雰囲気を纏っている。
 …見ているこっちが怖くなる程だ。
 その少々壊れた彼女達が、ひたすらじっとこっちを見ている。
 それに釣られるように警察官が私の顔をマジマジと見つめてきた。

 ――これは無茶振りじゃねぇかっっっ!?
   …てか、マッポ、こっち見んな!

 ………仕方がない。
 私は、今現在あるありったけの想像力を駆使してこの舞台を頭の中で作り上げる。
 そして、笑顔を慈愛に満ちたものに変えていく――



 ――お騒がせして申し訳ありません。
 私は、●●総合病院・精神科の御巫、と申します。
 先程、出勤して間もない私に二人の患者が診察前に親の目を盗んで逃げ出したという報告が入りまして、今到着したところなのです。
 ここは以前、彼女達が仲良く遊んでいた場所らしいので…きっとここだろうと思いましてね。
 彼女達も偶には遊びたかったのでしょう。
 今回は私の顔に免じて、許してやってください――



 納得したようなしてないような…微妙な面持ちで去っていくマッポ達。 流石に保護者?が居れば補導のしようもないだろう。
 いや、彼女達の名演技っぷりは絶品だった。 流石は女優だ。

 「…ありがとう、飛鳥」
 「うん、マジ助かった! さんきゅ! 飛鳥の演技も上手かったよ」

 可愛い娘二人にお礼を言われて、慈愛に満ちた笑顔そのままに頷く私。
 しかし…。



 ――いきなり話を振るな! てか、何時から私が居るの知ってた!?

 「…始めからなんとなく。 飛鳥って、凄く解りやすいから」
 「てか…飛鳥は探偵とか、絶対にやらない方がいいよね」

 ――手厳しい忠告、ありがとよ…蓮。


 がっくし肩を落とす私を余所に、若い二人が勝手に話を進める。
 「そうだ! 飛鳥もゲーセン好きでしょ? なら、これから一緒に遊ぼうよ!」
 「…蓮、それは名案。 飛鳥、私も一緒に遊びたい」



 ――うん! いいね!

   ………ん? 待てよ?

 
――お前ら、遊んでないで学校へ行けぇぇぇぇぇ!













 持ち上げた後に気持ちよく落とす。
 これは彼女らの愛情表現なのか、はたまた楽しんでいるだけなのかは知る由もないが…。
 結論として、私は思った。

 おパソの前で固まるだけが能じゃない。
 こういう趣味(コト)にも…偶には息抜きが必要なんだ、と――。





 大きな扉の向こうでは、ここで生まれた女優達が様々な生活を送っている。
 彼女達には届かないかも知れないが、一言だけ、言っておこう。



 ありがとう、君達に出会えて本当によかったよ――。







 劇終?




 連続での拍手、ありがとうございます!
 今後もこの連打に負けない気合で精進してまいりますwww

 さて、今回のヒロインSSは企画勃発から4ヶ月を記念して書いたものです。
 皆様、如何だったでしょうか?
 ますますパラレル感満載なお話となりましたが…
 当方の、彼女らへのを感じてくだされば幸いと存じます。

 因みに…このお話は過去に同じく拍手お礼で登場していた彼女達がモチーフになっております。
 現在の女子高生の会話など全く解りませんので…
 当方の高校時代を思い出しつつ書いてみました。
 今後、好評であれば…他のイラストをモチーフにしたお話も書いてみたいと思います。

 今後とも I×C+H.P を宜しくお願い致します!
 (こちらの担当は飛鳥でした。) ’08.08.09



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