女優達の幕舎 ――本館編――
     (一部ネタバレがあります)










 ここは、女達が集う小さな茶室。
 またの名を『女達の幕舎』と言い、筆者が書く物語のヒロインが使う部屋となっている。
 その中央――
 卓を囲み、それぞれに微笑みを湛える4人の女。
 筆者である私が言うのも何だが、実に綺麗な娘達だ。

 …黙っていれば、な(苦笑)。



 まずは私の対面にあたる位置に座っているのは軍医の英蓮。
 今は皆のためにお茶をせっせと淹れている。
 性格からか、はたまた職業からなのか――周りに気を使うところも極々普通に感じる。
 全くもって羨ましい限りだ(をい

 二人目――軍医英蓮の隣に座るは武将の英蓮。
 軍医と同じ名前なら、性格も結構…というか殆ど同じだ。
 しかし周りに向ける目には隙がなく、傍らには己の得物がしっかりと置かれている。
 戦える女ちゅぅのも羨ましいな(笑

 三人目――私から見ると左側に位置するのは現代ヒロインの蓮。
 こやつは企画のヒロインとは別で、設定年齢が少々高い(←それでも筆者よりは遥かに下だが;苦笑)。
 活発ではあるけれど幾らかお姉さん的な雰囲気を醸し出している。
 やはり、こやつも私同様社会に程よく揉まれているからな(笑

 そして四人目。
 私の右側で落ち着きなくきょろきょろ辺りを見回しているのは紅英。
 ヒロインの中では一番年下の設定であり、小柄という事も相まってか見ていると小動物っぽい。
 この場が初めてというわけでもないんだが…何処か物珍しそうだ。
 まぁ、このトシで落ち着き払っててもイヤだけどな(苦笑



 この4人に私(筆者)が加わる。
 この面々から、一体如何様な話が生まれるのか――

 それは筆者のみぞ知る、といったところだな、うひひ。











 ――そんじゃ、ちゃちゃっと始めますか。
 一同 『よろしくーv(一応皆でお辞儀)』
 紅英 「んでさ飛鳥、何話すのさ。 …ボク、じっとしてるの嫌なんだけど」
 ――悪い悪い、ちょっとした談話だから少し我慢しててくれ。
 紅英 「しょうがないな…」

 少々ぶすくれながらも言う事は聞いてくれる。
 しかし、何を思ったのかいきなり壁に向かって逆立ちをし始める紅英。

 ――何おっぱじめてんだ、紅英?
 紅英 「いや、このまま居るのもなんだから…ちょっと身体を動かしておこうと思ってさ」
 ――わはは、まぁ…これくらいは大目に見るか。

 ストレスが溜まって発狂されるよりはよっぽどいい。
 …てか、この場から逃げられちゃ敵わん(苦笑)。



 ――んでは早速本題に移るか…あんた達、ぶっちゃけウチのヒロインやっててどうよ?
 軍医 「ちょ、飛鳥! それ唐突過ぎだって!(ビシッと裏手)」
 武将 「どうよって、イヤならここに居ないわよ。 何気にしてんの?」
   「突然言われても返答に困るってば! もっと考えてから言ってくれる?」
 紅英 「(逆立ちしたままで)今まで散々使っといて今更何だよ。 おっかしーの」
 ――揃ってのツッコミ、ありがとよ(苦笑)。

 流石にこの質問を始めに持ちかけるのはいけなかったか(こら)。
 確かに、嫌々ヒロインやってたらこの場に集まらんな。

 ――すまん、いきなりで悪かった。 じゃ、あんた達も楽しんでるって事でよいかな?
 軍医 「私は全然大丈夫よ。 趣味でやってるようなもんだし」
 紅英 「趣味、かぁ…英蓮姉さんも上手い事言うね」

 紅英の一言にうんうんと頷く蓮と武将英蓮。
 まぁ、金は出ないし…趣味として捉えてくれる方がこちらとしてもありがたい。
 なかなかの好反応にほっと胸を撫で下ろす私。



 ――では次の質問。 あんた達の好みを聞きたいんだが。
 武将 「え!? 男の好み? もしかして飛鳥…次のお相手に迷ってるとか言わない?」
 ――(ギクッ!)い、いやそんなんではないんだが、ただこんな話がいいなぁとか希望があればと思ってな。
   「あ、それなら飛鳥…私、今度現地にトリップしたいわ。 連載もちょっとパラレルっぽいし」
 ――言われてみれば短編だと逆トリップばっかだな。
   「うん。 (遠い目をして)一度現地の服装してみたいのよねー」
 ――そ   こ   か(苦笑)。 本気で考えて損したぞ。
   「あはは…それは冗談半分。 でも、現地で一人のお相手さんとしっかり恋愛したいのは確かよ」
 ――半分というのは気になるが成程…じゃ、君の希望を汲む事にしよう。 乞うご期待だ、蓮。
   「うん! ありがとう飛鳥!」

 満面の笑みを返してくる蓮…こういった表情をしてくれるとこっちも嬉しくなる。
 しかし…少々苦手な部類に入る現地トリップ…どうしよう;;(←自分で撒いた種)

 ――他には何かあるか?
 紅英 「あっ、はいはい! ボク、姉さん達みたいなオトナな恋愛したいっ!」
 ――あのな紅英、その場でぴょんぴょん飛び跳ねながら言う台詞じゃないぞ、それは。
 紅英 「えー! ダメかなぁ…『愛してるよ』『ボクもだよ』とかやりたいな(←一人二役しながら)。」
 ――それは君がもっとオトナになったらな…っつーか、文章だとその台詞、どっちが女だか解らんわっ!
 紅英 「酷いや、ボクも女の子なのに…」
 ――はいはい、君には君の良さを生かした話をちゃーんと用意するから、ね?

 ぶすくれる紅英をなんとか宥め、漸くほっと一息。
 今度はお姉さん達に話を振るか。

 ――で、ダブル英蓮…君らは?
 軍医 「ちょっと、一緒くたにしないでくれる? 私達、名前は一緒でも別人よ(ゴゴゴと黒いオーラが!)」
 武将 「…凄くムカつくんだけど。 …ねぇ、一回刺しちゃってもいい?(黒いオーラと共ににじり寄る)」
 ――うわ!止めてくれ武将英蓮! ここでの流血騒ぎは御免だっ!!!(汗
 武将 「じゃさ、なんで私達同じ名前なのよ?」
 ――うーむ…これは結構痛い。 いや実は、そもそも最初考えていた設定の違いが職業だけだったんだ。
 軍医 「…だから、名前も同じにしちゃってたんだ」
 ――そういう事なんだ、すまん。
 軍医 「ふーん。 今更どっちかの名前を変えるってのも何だし、お話に支障がなければいっか」
 武将 「(頷いてから)でも、さっきみたいな言い方はイヤよ。 その辺反省してねv(黒笑)」
 ――りょ、了解(汗汗)。 おーこわ。
 武将 「あら? 私達は別に何も怖い事は言ってないわよ、ねぇ?(軍医に向かってにっこり)」
 軍医 「(武将ににっこり)ねぇー?」
 
――その笑顔が怖いんぢゃいっ!!!(焦

 これも自分で撒いた種だから仕方がないが…最近黒い二人が揃うとやはり恐怖だ(汗



 さて、話を戻そう………と私が口を開きかけた刹那、武将英蓮が声を上げる。

 武将 「あ、ついでにもう一つ、訊いていい?」
 ――? 何だ?
 武将 「飛鳥ってさ、結構血を見るの、好き?」
 ――(びくぅっ!)えぇ!? そ、そうかな…。
 軍医 「…と言うより、人を虐めるのが好きなのよね、飛鳥?(黒笑続行中)」
 ――(オロオロ)な、何を証拠にそんな事言ってるんだ?
 軍医 「とぼけたって無駄だわ。 証拠は話の中にあり、よ」
   「そうそう…私、一人ぼっちで現地に取り残された事あるし」
 紅英 「そんなの甘い甘い。 ボクなんか初登場でいきなり一人ぼっちだよ? しかも目の前で母さんが惨殺されるし」
 軍医 「蓮、紅英…貴女達はいいわよ。 私なんか連載でいきなり強姦に遭ったもの」
 紅英 「でも、未遂だろ? 過去に遭ったってのは話の中の設定だし、まだましだよ」
 軍医 「まぁ、確かにそうだけど――」
 ――ちょ、ちょっと待て。
 軍医 「でもね紅英。 貴女は直接傷つけられてないわ」
 紅英 「でもボク、設定がそれで固まっちゃってるんだよ?」
 ――えーと………。
 武将 「待った! 貴女達、本当に甘いわね…直接傷つけられているといったら私が一番よ」
 紅英 「うわ、武将英蓮姉さん来た(一歩引く)」
   「(手を目の前で振りながら)あはは………流石にアンタには敵わないわ、武将英蓮」
 武将 「自慢にはならないけどね(苦笑)。 今思いつくだけでもたくさんあるわよ。
     直接でなくてもお相手さんを殺しちゃったり、ピンチに陥ったり………
     瀕死の重傷なんか本当に当たり前だからね」
 ――あのな、お前ら。
 軍医 「(やれやれと両手を挙げる)まぁ、武将なら仕方ないけどね」
 武将 「あんたが言うな(苦笑)」

 
――お前ら、少しは私の話を聞けぇっ!!!

 ぜぇぜぇ………
 武将英蓮に話を振られた時、いやぁな予感はしていたんだが………
 やっぱり、予感的中だった;;
 ヤヴァイ…これじゃ筆者自身が彼女達に殺されかねない。



 迫り来る恐怖にガクブル状態の私。
 しかし――



 軍医 「(ごく普通の笑顔に戻る)飛鳥、私達は別にイヤって言ってるわけじゃないのよ」
 ――へっ!?
 武将 「そうよ。 結局私達はお話の中でしか生きられないんだもの」
   「確かに、痛い思いや寂しい思いをするのはイヤだけど…それでもお話に出るのは楽しいわ」
 紅英 「きっかけは姉さん達と違うけど、ボクもここに来てよかったと思うよ」
 ――お前ら、あんなんでも楽しいって言ってくれるのか?
 軍医 「勿論! じゃなかったら今頃発狂してるわ…特に武将英蓮がね」
 武将 「(大きく同意)うんうん。 短編仕様も私達には丁度いいわ」
 紅英 「これからもたくさん出番増やしてくれるんだろ? ボクも楽しみでしょうがないや!」
   「そういう事よ、飛鳥。 だから安心してたくさんネタ、作ってね!」
 ――お前ら、ホントはいいヤツだったんだな………うっく(感涙)。
 武将 「………何を今更」
 紅英 「気付くのが遅いよ」
   「てか、ボケてるだけだったり」
 軍医 「あぁ、飛鳥ならあり得るかも(娘一同爆笑)」



 わはは。
 持ち上げといて落とす………流石はウチのヒロイン達だ。
 まぁ…それでも自分の基本スタイルは残していいとのお許しを得たんで――



 ――ありがとう、お前ら。 じゃ、今後も楽しくギャグや戦闘させてあげよう!
 娘一同 「甘さがないやないかーい!」
 ――素晴らしい総ツッコミ、ありがとよ(笑)。











 というわけで、今回のプチ座談会は終了。
 使った茶器をしっかり片付けているところは流石だ、軍医英蓮。
 そして、ここで会ったが何とやら、でいそいそと庭で手合わせを始める武将英蓮と紅英も流石だ。

   「………はぁぁ………」

 ………ん?



 ――どうした?蓮…溜息なんか吐いて。
   「ん? いや…あの娘達、現地のヒロインだから強いなって」
 ――乱世に身を置く女は皆強くなるんじゃないかな。
   「うん、そう思う。 ………やっぱりぬるま湯の世の中に住んでる私達にしてみれば凄いなって」
 ――そういうアンタも強いと思うよ、私はね。



 私の言葉に笑顔で返してくる蓮。
 うん、確かに思うよ………君達は強い、ってね。

 ………だから、時に鬼のような仕打ちをしちまうんだが(汗



 しかし、これだけは解っていて欲しい。



 君達に会えた事を心から喜んでいる私を――。







 劇終。




 アトガキ

 もう何作目になるか――拍手お礼粗品でございます。
 今回は、合同企画でもやっている『ヒロイン座談会』をさせていただきました。
 ウチのヒロイン達の垣間見えるキャラと本音を少々ブチ撒けております(汗

 お礼としては些か物足りないような気がしますが――
 少しでも楽しんでくだされば幸いに思います。

 ここまでお読みいただけただけで幸せです、アタクシ。
 あなたが押してくださった拍手と、このネタをくださった情報屋に――
 これ以上ない程の感謝の気持ちをこめて。

 2009.02.24   御巫飛鳥 拝


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