『真・三国画廊』 〜 もしもアノ人が画家さんだったら!? 〜
注 : パラレル設定です。苦手な方はお読みにならない方が宜しいかと…。
こちらは台本形式のお話となっております。
因みに…貴女(読み手@女性限定)は冷やかし半分のお客様、という設定です。
☆ ☆ ☆
ここはあの、無双キャラで極々マイペース(ぇ!?)な劉備さんが開いているギャラリーへの道。
絵画には全く興味がない…でも、劉備さんが結構好き、という貴女は…。
「見るだけ見て帰ろうっと♪」といった極々軽ぅい気持ちでギャラリーへと赴いていた―。
すると。
ギャラリーに到着した貴女は…先ずその場でフリーズする事になる。
そのギャラリーの名前、それは―。
『 画廊 ・ 民 』
…如何にもあの仁君らしい!と次の瞬間、爆笑しながら貴女は 『画廊・民』の中へと歩を進めた…。
受付っぽいカウンターに座っているのはある意味ヒロインである孫尚香の姿。
事務服らしいチェックのベストに紺のタイトスカートという格好に新鮮な可愛らしさが漂う。
尚香 「いらっしゃいませ! 玄徳様の画廊 『民』 へようこそ!」
貴女 「(勢いに圧されながら) こっ、こんにちは。 …今、入っても大丈夫ですか?」
尚香 「(見たこともないような商売用の笑顔!)えぇ、大丈夫よ! 今日は…玄徳様の絵を買いに来たのよね?」
貴女 「(いきなり確信を突かれ驚く) えっ!? あの…見て、良かったら買おうかな、って…」
尚香 「そう! それなら平気よ! だって玄徳様の絵、みんな素敵だもの!」
貴女 「(怯みながらの笑顔) …あは、それじゃ見させてもらいます」
尚香 「えぇ! じゃ奥へどうぞ♪ (奥へ顔を向けながら) …女性お一人様、ご案内〜!!!」
貴女 「(心の声) 声、でかっ!!!」
そして…。
趙雲(らしき声) 「ぃよろこんでぇっ!!!」
という大声と共に程なく奥から現れたのは劉備さんの腰巾ちゃ…もとい、五虎将のうちの一人である趙雲。
蜀軍のイメージにぴったりなモスグリーンのスーツをかっちり着こなしている彼に萌えを感じたのだが………
直後、その大音声に貴女は苦笑を浮かべる。
貴女 「(心の声)ここは飲み屋かっ!」
趙雲 「(感激しきりという感じで)おぉ、この画廊によく来てくれた。 この趙子龍、心から嬉しく思う。
さぁ…中へ入り、劉備殿の大志籠めた絵画の数々をゆっくりと見てくれ!」
貴女 「(苦笑のままで)はい…」
ここまで来たらもう引き下がれない…というか、帰ろうと思ったところで趙雲に一撃を食らいそうなので…
貴女は趙雲に導かれるまま中へと入る。
すると…
貴女 「うわ………ぁ(感嘆の声)」
ギャラリーの中にはあの方が描いたと思われる水彩画の数々。
それは…故郷と民を想う彼らしい画風で…
その風景画の素晴らしさに暫し感嘆の声を上げながら動けなくなる。
趙雲 「どうだ? 綺麗だろう…劉備殿渾身の作だ」
貴女 「…えぇ! 本当に素敵です!」
趙雲 「(相手の態度に満足そうに頷きながら) そうだろう。 どれも劉備殿の心が籠っているからな。
…で、どれを買う?」
貴女 「………へっ!?」
いきなりの展開に貴女は素っ頓狂な声を上げる。
それもそうだ…見ただけでそれぞれを吟味する間もなく「どれを買う?」と言われたのだから。
しかも…貴女は、そもそも絵を買うという目的で来たわけではない。
このままでは目の前の『君主LOVE』趙雲に圧されるまま絵を買ってしまいそうだ。
…危うし!
刹那、入り口の方から尚香の
「いらっしゃいませ! 玄徳様の画廊 『民』 へようこそ!」
という声が聞こえる。
貴女に代わる犠牲者(!?)が現れたらしく、直後そちらへと向かう趙雲。
ほっと安堵の息を吐く貴女だったが………
劉備 「そなたか…私の作品に賛辞を申してくれたのは」
貴女 「(心の声)げぇっ! 劉備さん!」
直後、画廊の奥から画家・劉備が登場した。
貴女が一番会いたかった人…しかし、今この瞬間には会いたくなかった人物だ。
様々な色の絵の具によって汚れた白のスモッグを着た彼は…笑顔を湛えた瞳で貴女を見つめる。
劉備 「ありがとう。 私はそなたが誉めてくれただけで充分だ」
貴女 「………いえ…私はただ、見たままを言っただけですから」
画家・劉備の謙虚さに「流石は仁君」と思いながら微笑みを返す貴女。
しかし…
劉備 「そうか。 しかし…これらを描くにはキャンバスや絵の具、更には絵筆など…」
完成するまでにはこれだけの金がかかっている…と言いたげに切々と語り出す。
もしや………
劉備 「…というわけなのだ。 どうだろう、気に入ったものがあれば買ってくれぬか?」
貴女 「(心の声)…やっぱり!」
仁君の円らな(?)瞳にじっと見つめられる貴女。
こうなると、勢い良く言われるよりぐさりと心に刺さる。
今更「貴方に会うだけに来た」とは言えない…いや、言える筈などない。
…さぁ、どうする!?
すると、突然後方から助け舟らしき声が響く。
この声も…貴女には聞き覚えのある声だった―。
張コウ 「あぁっ…この絵画の数々…どれをとっても美しいっ!」
貴女 「(心の声)ここでアンタが来ますか………(苦笑)」
振り返ると…両手を広げて、まるで舞いを披露するようにくるくると画廊の絵を見て回る張コウの姿。
くすんだブルーのスーツに身を包む彼は、普通に立っていればそれこそ絵になる出で立ちだ。
そう、何もしていなければ…と貴女は密かに舌打ちをする。
先程の 『新たな犠牲者(!?)』 の正体は彼だった。
その彼、一通り絵画を見て回った後、早速趙雲と値段の交渉に入る。
貴女と劉備さんはそれを呆気に取られた風に見つめ続けていた―。
張コウ 「(一際大きな絵画を指差し) この美しい絵こそ、殿のお部屋を飾るに相応しい!」
趙雲 「で…この絵の価値なのですが…(早速値段を入力した電卓を差し出す)」
張コウ 「えっ…!? …この値は少々無粋ですね…もう少し何とかなりませんか?」
趙雲 「…すみません、我々も慈善事業ではないので…」
張コウ 「そのお言葉、美しくありません! (電卓をひったくり値段を示す)
…これくらいではどうでしょうか…」
趙雲 「(負けずに電卓を奪う) いえ、これは譲れません」
殿ご所望の品にも関わらず値切りに値切る張コウさんと一歩も譲らない趙雲さん。
それを見て貴女はチャンスとばかりに入り口へ静かに歩を進める。
しかし………
尚香 「ちょっと待って。 貴女、このまま玄徳様の絵を買わないで帰るつもり?」
貴女 「(心の声) ちっ…やっぱり逃げられないか」
(そして後ろから劉備の姿が迫る!)
劉備 「尚香殿、いいのだ。 この方は私の絵を賞賛してくれた…それだけで充分だ」
尚香 「…とか言って、本当は買って欲しいくせに(ぼそ)」
劉備 「いや、尚香殿…そこまではっきり言っては…」
貴女 「(観念する)………はいはい、解りました。 買いますって」
結局、飾るのにスペースを取らない程度の小さな絵を購入して帰宅の途に着く貴女。
その背中に尚香の甲高い声が突き刺さる。
尚香 「毎度あり〜♪ また来てね!」
貴女 「(心の声)こんなんが続いたらこっちが干上がっちまうわ!」
劇終。
アトガキ
足跡のお礼として出させていただきますSSです。
今回は…以前書いた『三国医院』の脇役(?)だった劉備さんにお出ましいただきました。
これはあの話を書いている頃から構想にあったもので…
バイヤーにあの美しいお方を出すところまで考えてました。
少々ギャグに徹する事ができなかったのが残念(←ぇ
そして…オチがないのはご愛嬌という事で。
(ちょwwwおまwww)
とりあえずは次回作をお楽しみに、ということで…。
ここまでお読みいただけただけで幸せです、アタクシ。
あなたが押してくださった足跡に…これ以上ない程の感謝の気持ちをこめて。
御巫飛鳥 拝
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