その涙、全部あずけて―
俺は―
お前のためにできることをいつも考えていた。
お前は…強がっているのか?
何があっても表に出さずに「大丈夫よ」と言うお前を見ていると―
俺も一緒に苦しくなるんだ。
お前に、更なる悲しみが訪れたとき―
長い間…俺とお前は、何も言わずに見つめ合った。
今まで、二人が一緒に見てきた思い出の数をかぞえながら―
これからも 想いを重ねていくと 誓い合った二人なのに…
どうして、俺に何も言わない?
どうして、涙一つ俺に見せない…?
「力になりたい」といつも言う俺に―
「大丈夫だから 優しくしないで・・・」
とお前は言った。
もしかしたらこの愛は『虚像』なのか?と思わせるような、お前の寂しい笑顔に…
俺はそのとき、何も言えなかった―。
あれから二人で、いくつもの季節を一緒に迎えて来たけれど―
俺はお前に、置いてかれているんじゃないかと思う。
「大丈夫」と言われる度に…
お前だけが どんどん大人になっていく気がした。
俺は、そんなに頼りない存在なのか?
お前は、そんなに俺を信頼してないのか?
そう思うと、
お前の身体を、お前の全てを―
俺の腕の中で壊したくなる。
何もかも 俺に委ねて欲しくて―。
「大丈夫」と何度言われただろう―
ある日、俺に限界が訪れた。
ほんの些細なことだったけれど…
いつもの言葉に、俺は初めてお前に怒りをぶつけた。
そして、自分にとって一番嫌いな『俺』になった。
お前に背中を向けながら
「もういい・・・」
手を振って歩き出した。
刹那―
「待って!」
お前の叫ぶ声が背中に響いた。
今更…と思いながら顔だけ君に向けると―
俺は心底驚いた。
初めてお前の泣きじゃくる顔を見たから。
初めて、お前の弱さを目の当たりにしたから。
俺が慌てて走り寄ると、お前は―
「お願い・・・置いて行かないで」
流れ続ける涙を拭いもせずに、俺の胸に飛び込んできた。
突然のことに、倒れそうになりながらもお前を抱きしめると―
お前は身体を大きく震わせながら泣いた。
予想外の出来事に、戸惑いながらも…
俺は今まで以上の『幸せ』を感じていた―。
落ち着いたお前が、俺に問い掛ける。
「・・・甘えてもいい?」
俺は、素直に嬉しかった。
もちろん、と頷く俺に
「負担にならない?」とお前が更に問うた。
!!!!!
今…俺は、お前の気持ちを全て理解したような気がした。
愛するが故に、負担になりたくない気持ち―。
その気持ちは、俺にもあるから。
いつもよりずっと細く見える、お前の身体を更に強く抱きしめる。
「負担に感じなくてもいいんだ・・・」
今まで溜めてきただろう涙を流し続けるお前に
「その涙・・・俺に全部あずけてくれよ」
自分でもキザだな、と思うほどの言葉を吐いた。
そして 泣きながらクスッと笑うお前に、俺は―
照れくさい気持ちを押し殺しながら、言ってやった。
きっと二人なら―
何時か、その涙を 『喜び』 に変えられるから………
終
アトガキ
3万打御礼企画第3弾! 今回は異色な小説をUPしました。
これを書いた当時…小説のほかに作詞も手がけておりまして(汗
『詩と小説をコラボしたらどんなんなるかなぁ〜?』
といった全く無計画な事ばかり考えておりました。
その結果がコレです(汗
少々恥ずかしい気もしますが、これはこれで面白いので素直にアップします。
因みに、これはタイトルの微妙な変更と、誤字脱字を修正しただけです orz
管理人の違った面が見られればこれ幸い!
とりあえずはここで退散いたします。。。
ここまでお読みくださってありがとうございました!
2008.04.03 飛鳥 拝
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